先端テクノロジー EEEngineとは?

優れた音質を確保しながら、強力なパワーを供給するEEEngine
高い効率性の駆動機能と、優れた省電力機能の融合

Good Sound Cool Drive EEEngine

パワーアンプの出力が大きくなると、より高い駆動メカニズムが求められるようになる。ヤマハのEEEngineアンプドライブ技術は、スイッチング回路と平滑回路を経由する入力信号のレベルに必要十分な電圧を供給することで、高効率ドライブを可能にするとともに、後述する特別な補助電源供給メカニズムにより、非常に高度なレベルでの「高効率と高音質の融合」を果たした。これは、クラスABのアンプの機能とクラスDのアンプの効率性を同時に提供する、これまでにないパワーアンプの駆動技術である。この技術は、多くのヤマハ業務用パワーアンプに幅広く採用され、ライブSRからホールなどの音響システムに至るまで、あらゆる状況で優れた特性を発揮している。

従来型アンプ − クラスAB

図1:クラスAB動作波形

これまで、クラスABはパワーアンプの標準駆動方式であった。この方式は、シンプルな回路構成と優れた音質が特徴である。しかしソースの振幅の大小に関わらず、最大出力引き出すために必要な電圧を常に出力トランジスターへ供給しなければならず、無駄に電力を消費する、つまり過度の熱放散が発生する、という難点がある。
クラスAB方式のこの問題を克服するために、様々な方法が開発された。例えば、クラスHとクラスDという駆動方式が開発されたが、それぞれに個別の課題を抱えているのが現状である。

電圧切換型 − クラスH

図2:クラスH動作波形

クラスHは、入力信号に応じて出力トランジスターに供給する電圧レベルを段階的に切り替える方式である。これにより、振幅の小さい(小さいレベルの)ソースを入力しているときは、出力ステージにおける熱放散の問題が改善される。この切り替えがマルチステップで行えるならば、効率は大きく改善されるが、実際はステップが増えるごとにスイッチ・ロスとエレメントの数が増えるため、2段階、3段階の切り替えに留まるのが一般的である。従って、クラスHでは、ダイナミック・レンジが広い音楽信号を前提とするパワーアンプにおいて十分な省電力化を達成するのは難しい。

PWM: パルス幅変調方式 − クラスD

図3:クラスD動作波形

クラスDとはPulse Width Modulation(PWM)方式のことである。クラスD方式では、入力ソースの波形から各時点の信号レベルに応じたデューティを有するPWM信号を生成し、出力トランジスターをスイッチング駆動することにより高効率を実現している。PWM信号は矩形波であり、出力トランジスターは信号を非常に高い効率で増幅させるが、増幅されたPWM信号をアナログの音楽信号に復調する際に発生する高周波ノイズを、大量の電力を消費するローパスフィルターを用いて除去する必要がある。この出力ステージでのフィルタリングは、同時に音楽信号の周波数レスポンス、歪み、ダンピングファクターの悪化の問題を孕んでいる、また、高電力のPWM信号は、無線周波数レンジで電磁波を発するため、様々な対策が必要となる。こういった点からクラスD方式のパワーアンプは、効率面を考えれば有効であるが、音質という点では今後も改善の余地を多く残している。

最先端のアンプ駆動技術: YAMAHA EEEngine

図4:EEEngine動作波形

EEEngineは、こうした問題を克服して、パワーアンプの設計を飛躍的に向上させることで、クラスABアンプが持つ音質を損なうことなく、クラスDアンプに匹敵する効率性を実現している。またEEEngineは、そのストレートなアプローチにより、高出力パワーアンプが半宿命的に抱えてきた、質量、サイズ、熱生成という問題点も解消している。

EEEngineは入力された信号のレベルを動的に判別し、出力トランジスターへは必要となる最小限の電力を提供することで効率を飛躍的に向上している。一言で言えば、クラスDの考え方を利用して必要な電力を供給し、出力ステージでクラスABの特性を実現しているのである。

必要十分な(適切で、過剰でない)電力の供給を実現する部分にクラスD同様の考え方を用いるため、ほとんど全ての電流エネルギーが音声信号として出力され、効率の度合いはクラスDにほぼ匹敵する。一方、入力から出力まですべて純粋なアナログ信号であり、特に出力段にはAB級の回路構成を採用しているため、EEEngineは音の良さという点でも理想的である。また、副次的に、パワーアンプの熱生成を最小限に抑え、余分な回路を設けることなくストレートな設計が可能になった。50%の省電力化は、言い換えれば、ほとんど同じ規模の回路構成・筐体サイズ・質量でAB級のおよそ倍の出力を獲得できるという事実にも繋がる。


図5:EEEngine技術構成図

図5:EEEngine技術構成図

  • スピーカに駆動電力を供給する主電源供給ライン
  • レベリング回路で主電源供給ラインのON/OFFを切り換える切換エレメントを組み込んだ高効率性電流バッファ
  • 入力信号レベルに応じてON/OFF切換周波数を変化させるコントロール回路
  • 入力信号レベルに迅速に応答して、主電源とは独立して電力を供給する補助電源供給ライン
  • 補助電力供給レベルを調整、及び制御する高速電圧バッファと電流検出器
    これにより入力信号の振幅が急激に上昇しても、効率的で高精度の電力増幅を実現

EEEngine parts

急峻なサウンド出力の増大に対応

図6:効率比較データ

EEEngineの特長のひとつにスルーレートの大きさが挙げられる。EEEngineの補助電源供給システムは、常に適切な電力での駆動を実現する主電源供給システムと連携しながら、サウンド出力が急速に増大しても高い性能を維持できるように用意されている。これにより「ファースト・アンプ」の特性を完璧に維持したまま、消費電力を軽減できる。一時的に高い電圧で高速な補助電源供給システムを駆動させても、主電源システムから常時供給される電力により通常入力時の駆動を効率化できているため、平均の電流値を抑えることができ、電力のロスは飛躍的に改善している、という点はEEEngineでこそ成し得る高度なインテグレーションである。

優れた部品寿命と信頼性

図7:効率性比較データ

優れた効率化と音質の実現の他に、EEEngineがその素性の良さから副次的に生み出したもう一つの特性も注目に値する。一般に機器の内部温度を10℃下げることが、部品寿命を2倍に伸張すると言われるが、EEEngineの使用時の熱生成は、以前のクラスAB方式の自社アンプと比較して35%も軽減されている。これにより、耐久性と信頼性が飛躍的に向上したことも、「ヤマハのアンプは強い」定評を勝ち得た秘密である。

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